山崎ハコ『人間まがい』

山崎ハコさんのアルバム『人間まがい』(1979年)に「呪い」という曲があって、
静かで美しいメロディーと共に怖い詩が歌われます。

コンコン コンコン 釘をさす
コンコン コンコン 釘をさす
たたみが 下から 笑ってる

コンコン コンコン 釘をさす
わらの人形 釘をさす
自分の胸が 痛くなる

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初めて聞いたのは確か谷山浩子さんのオールナイトなのですが、
当時あまりのインパクトにLPを買ってしまいました(笑)。
アルバムタイトル曲も、死んでみたけれど死にきれず彷徨っている
「人間まがい」の歌だったり、ほぼ全部暗い曲でしたが、記憶に残るアルバムでした。

その後、大槻ケンヂさんのオールナイトで怖い曲として脚光を浴びたり、
松村邦洋さんのオールナイトのエンディングで使われたり、
知る人ぞ知る怖い歌的に語り継がれてきたようですが。

先日、オールナイトニッポン45周年企画の一環の、
イルカのオールナイト(と言っても日曜日の朝7時からの放送)の中盤で、
「呪い」がかかったかと思うと、山崎ハコさんがゲストで登場して。

どういう状況でこの曲を作ったのか、というリスナーの素朴な質問に、
こんなお話をしていました。

1979年に『地獄』という映画のために曲を作った際に
(主題歌「心だけ愛して」、挿入曲「きょうだい心中」)、
この歌を普通のフォークのアルバムに入れて出すのは浮いてしまうだろうから、
じゃあいっそ企画的に「怖いアルバム」を作ろうという話になり。

「で、曲が足りなくなった時に、
怖いといえば藁人形だろう、と。
その歌がないじゃん、作んなきゃって、それで、大御所に、
石川鷹彦さんてギターが好きで、で、
キレイ過ぎて怖い~っていうのに、してくれませんか~!って。
そしたら本当に、めっちゃくちゃ綺麗で」

…というのが成立の背景だそうです。
そして自ら、こんな解説も付け加えてくれました。

「この歌は、『畳が下から笑ってる』って詩がある通り、
下に畳があるってことは、子の刻に神社に行ってない」

自分の涙が釘になって、
釘を刺したら、自分が傷む、
流した涙がまた釘になる、気づいてください、
…そんな思いの歌であるような、お話をしていました。

色々聞かれてきたのかな…という印象で、けれど、
嫌がるでもなく、笑いながら丁寧に説明していました。

その後の番組は、松村邦洋さんがふらっと登場したり、
最後には「望郷」(1975年デビューアルバムの一曲目)を
山崎ハコさんがスタジオで弾き語りするなど、なかなかの充実でした。

しかし、『地獄』という映画、調べてみたら、
カルトというか、かなりキワモノかも…(苦笑)。
(cf. 『地獄』|Cinema Clip )
まあ、いつか機会があったら(あるのか? ^^;)

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