エリノア

Erinoa

2/3(日)、森下文化センターにて行われた、

  • 小長井信昌さんの講座「永遠の少女マンガ~名物編集長が語る少女マンガ史~」
  • 第3回「マンガ家と語ろう(2)」(ゲスト:美内すずえさん、笹生那実さん)

に参加し、楽しく拝聴させていただきました。

前半は少女漫画の黎明期を時代を追って取り上げたもので、
駆け足ながら濃い内容でした。

その中で、特に有名な作家さんではないのですが、是非紹介したい
…ように取り上げられた、「エリノア」という作品の話が印象的でした。

作者の谷口ひとみさんは17歳の高校生の時、
「週刊少女フレンド」1966年、15号で、
少女フレンド新人まんが入選作「エリノア」でデビュー。
主人公の女の子がひと時だけ魔法で美しく変身し王子様と恋に落ちるが、
最後は恋に敗れ死んでいくという人魚姫のようなストーリーですが、
絵のレベルも高く、作品も鮮烈な印象を残していた。
しかし、直後に他界。
「週刊少女フレンド」1966年、20号に、「谷口ひとみ追悼記事」が掲載されている。
谷口ひとみさんの単行本は出ることもなく、
ただ雑誌でそれを読んで覚えていた人たちの中にのみ、
「エリノア」は残っていた。
美内すずえさんも、笹生那実さんも、その作品のことは覚えていた。

そんなふうなお話であったかと思います。

この作品を読んでみたいと思い、講演会が終わってから探してみました。
最初は国会図書館で探そうかと思ったのですが、
数年前に復刊ドットコムさんで、「エリノア」とその関連記事をまとめた単行本が
出版されていたのだと気づきました。
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68311186
復刊ドットコムさんでは品切れ中だったようですが、
発行元のさわらび本工房さんのサイトから、
http://honkoubou.fc2web.com/hanbai.html
まんだらけさんの通販をたどって、
http://ekizo.mandarake.co.jp/shop/ja/item-Mani-erinoa.html
注文してみたところ、入手できました。

『エリノア』
著者:谷口ひとみ
発行日:平成23年11月23日
収録内容は、以下のとおり。

  • 谷口ひとみ「エリノア」
    • (週刊少女フレンド1966年15号掲載/マイフレンド1976年秋の号再掲)
  • 谷口ひとみ「人形」
    • (中学校の文集に掲載された詩、週刊少女フレンド1966年5月31日号に転載)
  • 少女フレンド編集部「谷口ひとみ追悼記事」
    • (週刊少女フレンド1966年20号掲載)
  • さわらび本工房「『エリノア』と『谷口ひとみ』~忘れられた二人の少女~」
    • (まんだらけZENBU40号掲載))
  • さわらび本工房「ハルノ、ヨノ、ウタカタ。~谷口ひとみに花束を~」
    • (まんだらけZENBU41号掲載)

届いた日に一気読みしてしまいました。
作品はもちろん、さわらび本工房さんの記事も良かったです。
(署名がないので、さわらび本工房さん、という紹介にて)

さわらび本工房さんが「エリノア」と出会ったのは、
『ぱふ』のバックナンバーを見ていて、読書欄の伝言板で、
「エリノア」を探す投書を見た時だそうです。
最初に見かけたのは1980年の『ぱふ』吾妻ひでお特集号の伝言板。

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その時は何となく読み流したものの、1979年『ぱふ』8月号の伝言板で、
同じく「エリノア」を探す方々の投書を見るに至り、
気になる作品として名前だけがさわらび本工房さんの中で記憶されます。

やがて時は経ち、作品に触れ、御遺族の方への取材へと至り、
自分が生まれるより前に、たった一作の漫画を残して、
十八歳で逝った谷口ひとみという人の生にたどり着きます。

何か、40年以上の時を経てこの本が誕生したことが、
一つの不思議な、けれど生まれざるを得なかった物語のように、感じられるのです。

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