幼い頃、ウルトラマンはじめ怪獣特撮が大流行でした。
今でも懐かしく見ることがありますが、当時はずっと真剣に見ていました。
ある晩、怪獣が出てくる夢を見ました。
怪獣が叫びながら、こちらの方に近づいてきます。
逃げながら見上げるうちに、目が覚めました。
あーよかった、夢だったんだー。
そう思った次の瞬間、怪獣の声がまた聞こえて来ました。
どうしようと、怖くなって、けれどすぐに、それは父のイビキだと気づきました。
昔から父のイビキはひどく、母によく文句を言われていました。
特に酔って寝た時のイビキは大きく、それが子供部屋まで響き、怪獣の夢になっていたのです。
父の介護ベッドの横の床で寝ていて、ふとそんなことを思い出しました。
怪獣は時々大きなイビキだったり小さなイビキだったりを繰り返し、やがて静かで永い眠りに着きました。
目を閉じると怪獣は、昼寝している父にそっくりになりました。
7月9日、父、永眠。